目指せ!日本一の起業家応援都市 『浜松バレー構想』 。全国のベンチャー企業の成長を支援する浜松市の取組みに注目すべし

今や世界的企業となった、スズキ、カワイ、ヤマハ、浜松ホトニクスも、元々は浜松市から生まれたベンチャー企業です。そのベースにあるのは、「まずはやってみよう」という浜松市の気風、“やらまいか精神”。
先人たちのチャレンジスピリットを引き継ぎ、再びベンチャーが生まれる環境、土壌をつくろうと、2018年よりベンチャー支援グループを立ち上げた浜松市。その取組み内容について、浜松市産業部産業振興課ベンチャー支援グループの米村仁志さんと風間健太さんに話を伺いました。

浜松市をフィールドに、まずはやってみる!!「実証実験サポート事業」


独自の技術やアイデアを活用した実証実験プロジェクトを全国から公募し、実証フィールドを提供するとともに、実験にかかる費用を助成する事業。
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/hamact/hjs/index.html
米村:昨年立ち上げた事業ですが、首都圏等のベンチャー企業5社のプロジェクトが今年から本格的に始まりました。首都圏の企業は、自社開発技術の実証実験をする環境が限られているので、首都圏から近い浜松市(東京から1時間半)で、あらゆる環境が整っており、様々なサポートを受けられる本事業には全国のベンチャー企業から多くのご応募をいただきました。
-応募理由で多かったのは、やはり資金面での補助ですか?-
米村:お金はもちろんですが、行政と一緒にやるという信用も大きかったと思います。実証実験を自治体がサポートするケースは全国的にも少ないですから。
風間:民間企業では開拓が難しい分野、例えば医療系であれば、行政と一緒に行く事で窓口を開くことができ、可能性が広がります。そこをメリットと考えた企業も多かったですね。
米村:自動運転の分野では、勝手に道路を走るわけにはいかないので、地元自治体や警察との調整など、自治体の強みが活きてきます。ベンチャー1社にできることには限界がありますから。PRの場の提供や法制度に関するアドバイス等も行いながら、浜松市が抱える課題を解決する新たなビジネスの芽を共に育てて行きたいと考えています。
風間:まずはここで仕事を作って、浜松に来て、居心地の良さ、仕事のしやすさを体感してもらい、将来的には浜松に進出してもらえたら嬉しいですね。浜松市に限らず、市外、県外、どの企業も応募できる制度です。
- 今年度も実施すると聞きましたが -
米村:今年度も5社程度を採択できればと考えています。テーマをもう少し絞り、本地域に必要とされるプロジェクトが集まるように募集内容をわかりやすく設定していければと思っています。「まずはやってみる」ことが大事ですから。

ベンチャー企業のネットワークが年々広がっている浜松市


上限7,000万円!VC等と協調。資金を交付する「ファンドサポート事業」


ベンチャー企業等に対するベンチャーキャピタル(以下VC)の投資に協調して交付金を交付し、市内ベンチャー投資の活性化を通じてベンチャー企業の成長を図る事業。
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/hamact/support/fund-support.html
-対象は浜松市内の企業ですか?-
米村:市内企業への投資事業ですが、営業所でも構いません。昨年採択された3社の内1社は浜松市外の企業で、申請を機に浜松市へ本社を移転されました。本事業の最大のポイントは、VCが出資する金額と同額を市としても資金提供するところにあり、例えばVCが5,000万円出資すれば、同額の5,000万円の交付金を提供します。但し、浜松市の交付金には上限があって、健康・医療関連事業が7,000万円、その他事業が5,000万円。事業期間は最長で2年間になります。
-VCは東京の会社が多いのでしょうか?-
米村:昨年度登録された認定VC9社の内、7社は東京の会社です。昨年、日本ベンチャーキャピタル協会の懇談会を浜松で実施した際に、首都圏のVCにファンドサポート事業の紹介をした所、面白いねという話になり、応募いただけたVCもあります。新規事業に対する優れた「目利き能力」を持つ首都圏のVCが、浜松に注目してくれたのは嬉しいことです。

 今まで、浜松で何かをやろうと思ったら、銀行から融資を受けるのが一般的でした。地方の企業がVCを利用するケースはほとんどありません。東京で溢れているベンチャーキャピタルマネーを浜松に還流させたいというのが今回の狙いだったので、採択された3社の内2社が東京のVCというのは、浜松市が日本一の起業家応援都市を目指す上で、とても良い流れだと思います。この流れを新年度から更に加速するように、認定VCの追加募集を5月から行います。
-ベンチャー企業の募集スケジュールはどうなりますか?-
風間:昨年は年1回でしたが、今年度は5月頃と秋頃の年2回を予定しています。資金調達のタイミング、本当に必要な時にお金があるかどうかは、成長を加速させる上でとても重要です。新しい事業の準備を進める中で、資金需要がわかってくるタイミングに合うように、年度の後半に向けた秋から冬にかけて、募集を行います。

- 今年度、新たに始まるベンチャー支援の取組みもあるそうですね -
米村:ひとつは、「ものづくり×ベンチャー」によるイノベーション創出促進事業です。浜松には、優れたものづくりの技術があり、それを活かす経営アイデアを探している企業が多々あります。一方で、アイデアはあるけれども、それを形にしてくれる所を探しているベンチャー企業もいて、両者を掛け合せることで新たなビジネスや製品を浜松から生み出したいと考えています。
 この1年、浜松市内の企業では、大小問わず「このままではダメ。変わらなければ」という機運が高まっています。秋口にはマッチングの場を用意できると思います。この機会に、浜松の「ものづくり企業」と繋がりたいベンチャー企業には、是非集まって欲しいと思います。
風間:もうひとつは「テレワーク推進事業」です。浜松市ではこれまで、働き方改革の流れでテレワークが注目される中、街、海、山にサテライトオフィスを整備してきました。

左から)はままつトライアルオフィス、舞阪サテライトオフィス、天竜トライアルオフィス


首都圏から近く、都市と田舎が隣接している浜松は、テレワークを試すのに最適です。「ワーケ―ション」という言葉も生まれましたが、サーフィンをしながら、ゴルフをしながら、川でキャンプをしながら、お試し感覚で気軽にテレワークできる環境があります。費用面等のサポートを行い、まずは一度、浜松という土地を体感して欲しいと考えています。浜松が地元のUターン組も大歓迎です。
- お二人の話から、浜松市が、資金、場所、ネットワーキング、あらゆる場面でベンチャー企業を応援していることがわかりました。最後にお二人から、首都圏および全国のベンチャー企業の方達へのメッセージをお願いします -
米村:どんなスタートアップでも、浜松に来ていただけたら手厚い支援をします。素晴らしいベンチャーのコミュニティーもありますので、成長を加速させたい方は是非浜松に来てください。
風間:できる限りの「えこひいき」をさせてもらいます(笑)。遊びがメインでも良いので、まずは一度浜松に来ていただき、サテライトオフィスなどの空気を感じて欲しいと思います。

- どうもありがとうございました。全国のベンチャー企業の皆さま、VCの皆さま。浜松市のベンチャー支援の動向から目を離さぬように。 -
■取組の詳細、お問合せはこちらから
浜松市ベンチャー企業進出・成長応援サイト「HAMACT ハマクト
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/hamact/index.html
浜松市産業部産業振興課ベンチャー支援グループ
静岡県浜松市中区元城町103-2  電話番号:053-457-2825

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