浜松で「働く」を創る!エージェンシースギタ(Dexi)代表杉田氏インタビュー


世界的なサービスや製品などの研究開発の拠点でありApple、Google、Facebookなどの名だたるIT企業が本社を置くシリコンバレー。その企業の経営者や製品はもちろん、デザイン性の高いオフィスにも世界から注目を浴びています。
ここ浜松市には企業の顔となる洗練されたオフィスデザインを提案する株式会社エージェンシースギタ(Dexi)(本社:浜松市東区)があります。今回は代表取締役の杉田氏に取材をしその活動と今後の事業展開についてお話を伺いました。

目次

杉田 策弘 氏 | プロフィール

1977年生まれ、静岡県浜松市出身。専修大学卒業後、オフィス家具の販売店に5年間勤務。地元浜松にUターンし実家の株式会社エージェンシースギタに在籍、2013年に代表取締役に就任。オフィスデザイン提案、オフィス家具販売、内装工事、シェアオフィス・コワーキングスペースDexiの運営を手がけ、2018年より不動産事業を展開する。

東京でオフィスデザインの下積みを経て、地元浜松へUターン


小澤:オフィスデザイン提案、オフィス家具販売、内装工事、シェアオフィス・コワーキングスペースの運営と様々な事業を手掛ける杉田さん。これまでの活動について詳しく教えてください。
杉田:私は大学を卒業後、東京のオフィスデザイン会社に5年間勤務していました。
入社当時、伸び盛りの会社だったので50名だった社員が数年で100名以上と倍になり企業の成長過程を経験させてもらいました。
事業内容やオフィスの提案がとても勉強になり、そういう環境で働けたのは良い経験でしたね。
元々、地元に帰って家業を継ぐことは決まっていたので、Uターンをして父の興した会社である株式会社エージェンシースギタに入社し現在に至ります。
小澤:東京で修業をして地元浜松にUターンされたんですね。
杉田:弊社は浜松で40年以上オフィス家具の販売をしている会社で、地元大手企業さんをはじめとした地元企業さんと取引をさせていただいてます。
私が実家に戻ったときパーソナル文具(文房具屋)に参入、現在のシェアオフィス・コワーキングスペースDexiの店舗に移転しました。
当時は東京でコワーキングスペースが流行り出しており、自分たちもオフィスを作っている会社だからやってみようと店舗の一角ではじめました。

公式ホームページ 事業内容「シェアオフィス」より引用


小澤:コワーキングスペースを開始したのは2012年、その当時の浜松市では先駆的な存在だったのではないでしょうか。
杉田:他にも1店舗ありましたが、ほとんど稼働していない状態で現在は閉店されたようですね。
当初は全く流行っていなかったものの新規の利用者さんが徐々に来てくれるようになり、可能性があると考えました。
その時に父が他界し2013年に私が代表取締役に就任しました。
小澤:会社としても過渡期に代表に就任されたのですね。
杉田:会社を受け継いでから、自分はどういう方向に事業を進めていこうかと考えました。
その結果、自分たちの良いと思うオフィスを作って人に貸すという事業を前面にやっていこうと舵を切りました。

スモールステップで積み上げ、着実に事業展開する

公式ホームページ 事業内容「シェアオフィス」から引用


小澤:代表に就任されて、事業の方向性を切り替えるのは大きな決断だったのではないでしょうか?
杉田:当時、自分たちが人を集められるという自信がありませんでしたね。
最初はシェアオフィスを2部屋からスタートして、利用者が増えるにつれて4部屋、6部屋と増やし固定席が欲しいという要望が出たので固定席スペースも作りました。
現在は2階にも部屋があるんですよ。
小澤:需要に答える形で徐々に事業を拡大して行ったのですね。
杉田:実は最初は自信がなかったのであまり大きなチャレンジはしないようにしていました。
小さなチャレンジを重ねて、ようやくここまで来れましたね。
小澤:シェアオフィスを利用するのはどのような業種の方でしょうか?
杉田:ライター、WEBデザイン、WEBシステム、動画制作、カメラマンなど、様々な業種の方が利用してくださいました。
東京ならIT関係など特色のあるコワーキングスペースがありますが、私自身がIT関係の仕事をているわけではないので特に決まった業種の利用者がいるわけではなく色々な人がいますね。
小澤:元々展開していた事業に加え、浜松のベンチャー企業の特徴的なオフィス設計を手掛けていますよね。何かきっかけはあったのでしょうか?
杉田:シェアオフィスをショールームのようなデザインにしたらいいなと作り込んでいました。
そうした中でリンクウィズ株式会社(本社:静岡県浜松市中区)の代表吹野さんから自社のオフィスを作って欲しいと依頼がありました。
そこからベンチャー企業さんとの関係が広がっていきましたね。

今まで浜松にはなかったオフィスデザインへの挑戦

公式ホームページより リンクウィズ株式会社のオフィス納入事例


小澤:リンクウィズさんのオフィスデザインを始め、様々な企業のオフィスデザインを手掛けていますよね。どれもデザイン性が高く素敵です。これは東京で働いているときに学んだのでしょうか?
杉田:東京ではごく一般的なオフィスデザインを学びました。
浜松に帰ってきてから自分でデザインや設計をするようになり面白いデザインの事例を調べていく中で、色々やりたいことが溢れてきました。
浜松でそういうこと試させてくれる企業さんはいるのだろうか?と思っていました。
小澤:東京のIT関係や若手経営者のいる企業はシリコンバレーのようにオフィスのデザイン性が高く、遊び心ある面白い設計になっていますよね。
杉田:シェアオフィスを始めたときに「面白いオフィスを作りたいよね」となり、コンテナを入れようとしました。
結局、入り口の広さの問題でコンテナが入らなくて断念したのですが(笑)。
リンクウィズさんから話があったとき、いくつかの提案させていただき、その一つにコンテナを使ったプランがありました。
そのプランを気に入っていただき、スムーズに詳細が決まっていきました。
小澤:ホームページを拝見してコンテナや倉庫ってこんな使い方があるんだ、カッコイイなと思いました。
杉田:自由にプランニングさせてもらいました。リンクウィズの代表吹野さんとは好きな物のテイストが似ていたのでモノ選びで苦労したことはありませんでしたね。

ひとつのオフィス設計から生まれた、事業の可能性

公式ホームページより 株式会社NOKIOOオフィス納入事例


小澤:リンクウィズさんのオフィスを手掛けてから、他の企業の方からうちもやってほしいと問い合わせがあったのではないでしょうか?
杉田:そうですね。NOKIOO(本社: 静岡県浜松市東区)の代表小川さんがリンクウィズさんのオフィスを見て、その足で当社に来てくださり依頼がありました。
オフィスのリニューアルを担当させていただきました。
小澤:以前、NOKIOOさんのオフィスに伺った際にオフィスの雰囲気が変わりましたね、このハイカウンターいいですねと話をしていました。
杉田:リンクウィズさんにあったハイカウンターを入れたいとご相談をいただきました。
NOKIOOさんのオフィス家具は元々選んでいる物に統一感があったので、既存什器を使ってできました。
その他にはパイフォトニクス(本社:静岡県浜松市東区)さんなど、ベンチャー企業の方たちには色々と声をかけていただきありがたいですね。

「新しいもの・こと」を生み出すのは、お互いを認め合える場所づくり


小澤:ホームページに「新しいもの・こと」を生み出す場所とありましたが、シェアオフィス・コワーキングスペースでは積極的に利用者同士を繋げたりしているのでしょうか?
杉田:他のコワーキングスペースは交流会やイベントをよくやっていますが、うちはあまりやりませんね。イベントもひっそりとやっています。
対外的な交流よりも内部の交流を大事に運営しています。
利用者に話を聞いてみると、みなさん集中して静かに仕事をしたいということでした。
仕事をしに来ている人たちが多い、その中で新しく仕事をするにしてもよく知っている人に仕事を任せたいということでした。
小澤:杉田さんがこの人とこの人が繋がるといいんじゃないかとコーディネートをするのではなく、みなさんにお任せしているということでしょうか。
杉田:一番最初に紹介はします。じゃあ、その後に仕事のやりとりを始めるかというとそうではありません。
徐々にお互いを知ってから仕事が生まれるので、トラブルは1度もなくみなさん気持ちよく仕事を回しているようですね。
積極的に交流を求めているわけではないけれど、この人はどういう人なんだろうと何気なく観察しています。
常連さんになると仕事と人柄が分かって、この人はいい仕事をするなと思った人同士で仕事が生まれていますね。

物件選びから企業をサポート、不動産業への参入


小澤:今後、力を入れていきたい事業はありますか?
杉田:不動産事業を2018年1月から稼働させます。現在は不動産の宅建業を取得、企画を作っているところです。。
今まで不動産業はしていなかったのでオフィス設計の依頼があると物件を探してもらい、その後にオフィスデザインをどうするかを決めていました。
リンクウィズさんは物件選びから相談され、不動産屋さんを紹介していました。
もし、自分たちが不動産情報に詳しければお客様から相談を受けてから探すのではなく、すでに面白い物件情報を持って、この会社にはこのテイストが合っているんじゃないか?と提案出来きると考えました。
小澤:オフィス設計を依頼する企業の立場であれば、物件探しから頼めるのは心強いですね。
杉田:従来の不動産屋は顧客である企業の事業展開をヒアリングして物件を紹介するわけではありません。
お客様の物件に対する要望を聞いて、自分が所有している不動産の中からどれにしますか?と提案するまでに留まっています。
当社はお客様がどういう想いで事業を展開して行き、それにはどんなオフィスが合うのか?
現状をよく理解した上でその会社に最適なパートナーとなるような物件選びからお手伝いしていきたい考えています。

浜松に自分ができること、オフィス設計から繋ぐ想い


小澤:杉田さんのオフィス作りに対する「想い」を教えてください。
杉田:浜松の企業と聞くと大手企業さんや中小企業さん、下請けで部品を作っているという会社さん、それぞれポテンシャルを持っているので色々な方と繋がることで化学反応が生まれると思います。
浜松は経営者の考え方だけで化ける企業がたくさん眠っている場所です。
そういう人たちと一緒に浜松を盛り上げたいと思い、それはベンチャー企業の方と出会ったことがきっかけで考えが変わってきました。
小澤:浜松で出会った方たちの経営に触れることで杉田さんの考えが変わっていったのですね。
杉田:実は東京で仕事をやってきて地元にUターンした時は「浜松のオフィスはつまらない」と思っていました。
浜松のオフィスといえば、工場の横にあって事務作業をするオフィスのイメージが強いです。
東京にあるような面白いオフィスを作る機会なんて浜松にはないだろうなと諦めていました。
小澤:確かに従来の事務所は機能性重視でデザインは無機質、ステレオタイプなイメージがあります。
杉田:浜松は「ものづくりのまち」と言われています。
しかし、浜松も衰退してしていく地方の課題を持っており、今後は企業のオフィスも小さくなっていくし、オフィスを作る仕事は斜陽産業だと思っていました。
小澤:それはどこの地方も抱える課題ではないでしょうか。
杉田:浜松のベンチャー企業の方と関わるようになり、浜松には面白い会社があるということを知りました。
ベンチャー企業の経営者の事業に対する熱い思いにふれることで得られたものです。
そしてオフィスに対する強い思いもある。
こんなにオフィスに投資しようと考えている人達がいるということに驚き、浜松は私の力を発揮できる場所だと考えられるようになりました。
小澤:一度は諦めた杉田さんの考える面白いオフィス作りは、浜松のベンチャー企業の方たちとの出会いにより再熱したのですね。
杉田:アメリカのシリコンバレーと聞くと時代の最先端を担う面白い会社があって、優秀な若者が集うデザイン性の高い遊び心が溢れたオフィスがイメージできます。
「浜松」と地名を聞いた時にシリコンバレーのような会社があって、経営者の顔や製品、オフィスも面白いとイメージできるよう浜松を盛り上げていきたいですね。

編集部コメント

デザイン性に富んだオフィス設計の実績とその人柄から、多くの人を惹き付ける杉田代表。常にスモールステップで前進し新しい事業を展開していく起業家精神は浜松市の「やらまいか精神」をオフィスからサポートしていきます。

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